屋上はサボりにはもってこいの場所。
青い空はどこまでも続いていて、ほほを当たる風は心地よい。
寝転んで見る景色はまた最高。
横から流れてくる煙さえなければだけど…。










たばこばこ










「中学生の癖にタバコ吸っていいんですか〜。」







自分の声は届いただろう。
だが、タバコの主は知らん顔。
何食わぬ顔でふかし続けている。








「別にポイ捨てしなきゃいい事だろ?」
「違います。未成年は禁煙なんです。」
日本の法律で決まっているんです。
だが、そんな事この人には通用はしない。
「俺未成年じゃないからv体だけはv」
にこっと笑って、煙をふかす。
「義務教育者が何を言うんですか?」
ちらりと横を見る。
自分の目線の高さから見えるのは斜め下からの顔。
表情も曖昧。
結構カッコいい。
整った顔は男女問わずもてるのもわかる気がする。
思わず見とれてしまう。
青い背景が見事にピッタリで。
嫌がってた流れる煙も自然で。
「何?どうした?」
視線を下に向けての問い。
上から見下ろされてるはずなのに、
ムカつくとかそんなんじゃなくて…なんだか恥ずかしい。
目線が優しいから。
「別に…。」
「見とれてた?」
自信満々な笑顔。
憎たらしいとかより…好き。
だから少しだけ正直になっちゃう。
「ええ。
 いつまでタバコ吸ってるんだと思いまして。」










本当に少しだけ。










「……あのなぁ…。」
ポケットに入っていた携帯灰皿にタバコを押し付ける。
「これでいいんだろ。」
「はい。」
起き上がると、同じように座り込む。
もうけむたくはない。
「もしかして、タバコ嫌で寝転がってた?」
三上の問いに笠井は「ええ。」と即答する。
「他に何の理由があって?」
なんとなく想像付くけど。
「いやぁ〜。昼間から大胆に誘ってるのかな…と。」
そっとほほに触れる手。
さっきまで彼の手を占領していたタバコはもうない。
「ねぇ、先輩…。」
「ん?」
見詰め合う目と目。
ほんの数センチで近づく顔と顔。
「そんなに口寂しいなら…。」
これで…我慢してください。



















ぱくん。


















ぱくん?
唇に触れたのは何かの物体。
それが何か理解するまで数秒。
「…メンソール…??」
普通、こういう場合口付けというのがお約束ではないのですか?
と、いうか…なんで笠井君がこんなの持ってるんだ。
さっきまで駄目駄目言ってた人間が。
混乱する頭の三上に笠井は説明をする。
「タバコってたまに吸うといい気分転換になるんですよね。
 それに、僕はっか好きなんですよ。
 この銘柄ならほとんどはっかと変わらないですし♪」
時々吸ってるんですよ〜。
誰かさんの影響で。
「ああ。でも煙が嫌いってのは本当ですよ。」
だってけむたいじゃないですか。
においだって雰囲気だって変えちゃうし。
「そうですか…ならさ…。」
タバコを取って軽く口付け。
重なった味はメンソールのはっか味。
「この味のキスが好きなら銘柄変えるけど?」
にやりと一言。
…ずるいんだ。













この後、嗅覚も鋭かったエースストライカーに、
つっこまれて三上が黄金の足技を繰り出したのは後日談。

これは授業中なのか昼休みなのか。
中学生が煙草は賛否両道だけど、どーでもいい派(笑)
っていうか、弟が中学で吸ってたしさ…。
三上は吸ってそうなイメージが強い。渋さんも気分転換に吸ってそうだね。
後森では中西さんと近藤君ってイメージ。
今回は笠井君も吸ってるけど、多分彼は吸わないと思う。
ちなみにタイトルは煙草ばこです。
こういう響きが好きなのですv(たまごまご(卵まご)とか)