「いや…今…誰かに見られてた気がして…。」
「へ?全然。気のせいじゃないの?」
ごめんな。嘘ついて。
俺が気づかないわけがない。
当たり前だろう。
だからタクも自分に確認しようとした。
けれど本当の事は教えてあげない。
+視線+ -side F-
ただ…ムカついたんだ。
なんでこいつをみるんだよって。
あんたには渋沢さんがいるだろうって。
いつも一緒で一番信頼されていて。
俺以上の立場に居て。
何が不服なんだ。
そんな目で親友を見るな。
汚したくないんだ。
大切な…この純な親友を。
俺みたいになって欲しくない。
憎しみと悲しみの渦に叩き込みたくない。
それに…。
これ以上何もゆずらねぇ。
あんたには。
想い人も。
大切な友人も。
だから、気づかないふりをしてやった。
タクは不思議そうだったけど。
本当は気づいてたから。
あんたがタクを見つめていた事なんて。
あんたがタクに見せる視線は俺と同じ意味を持つ。
嫌でもわかるんだ。
二回当たったサッカーボールは嫉妬の証。
隠してもごまかしても俺には判りますよ。
あなたが気づくまで。
タクが感ずいても…。
暫くは自分ひとりの秘密ごと。
俺は…あなたには渡さない。
憧れの先輩も親友も取られてたまるか…。
けれども、そんなの隠すから。
知らないでしょ。
バカで怒らせて自分に興味を引かせるのも作戦の一つ。
本当の俺を。
誰も…。
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