一度目の出会いは入学式。



一度目の認識は新しいクラスでお約束の自己紹介。



二度目の認識はサッカーの試合。



だけども二度目の出会いは偶然起こった。





capriccioso


片手にはコンビニの袋。
じゃんけんで負けた買出し。
しかも…一軍メンバー全員分。
普段は止めてくれるキャプテンも親友に口説かれてしまった。
いつもならからかって…それでも自分には優しい先輩は、
他の先輩につかまっている。
つかまっていなくても…この寒さじゃついてはきてくれないだろう。

「こういう時までもチームプレイしなくてもいいのに。」

口で文句を言いながらも歩く足は止めない。
コートを着ても少し寒いくらいの気温。
早く僚に戻りたい一心で前へと進んでいく。
が…ふと聞こえた音に足を止める。
聞こえてくるのはすぐ横の公園から。
自分も聞きなれているその音。

誰が出しているのか興味半分で公園に入る。
買い物は…多少遅れてもいいだろう。
公園に入った彼を待っていたのは、
一人の少年がサッカーの練習をしている場面だった。

見たことのある顔。
ゆっくりと思い出す。

どこで?

ごく最近に身近で。

自分が考えてる間に少年はこちらに気づいたらしい。
「あっ。」と小さく声を上げて驚いた顔をする。
「か…笠井君?」
いきなり自分の名前を呼ばれて相手の顔を真正面から見て、
思い出した。

桜上水に転校して試合した元クラスメイト。
そして、試合で自分がマークした相手。

「えっと…風祭君…?」
確か自分の後ろの番号だったはず。
確か試合中にも桜上水の人間がこう呼んでたような気がする…。
「う…うん。」
それから会話が続かない。
元々クラスが同じでも番号が前後でもそれほど仲がよかったわけではない。
お互い親友は別にいたのだから。
連絡事項等で会話を数回交わすのみの関係。
試合のときはなおさら会話などはほとんどない。
「ちょっと驚いたな。俺の名前覚えてたんだ。
 確か一年とき同じクラスだったよね。」
「うん。
 笠井君成績もよかったし…よく藤代君と一緒にいたし…。」
「ああ。誠二と一緒じゃ目立つからね…。」
仲がよいのはルームメイトでもあったから。
明るい彼はすぐにクラスの中心となった。
そのため、一番仲のよかった自分まで目立つはめになったのだ。
「あ…あの…僕の名前は何で…?」
「ん?番号前後だったでしょ?」
笠井と風祭。
出席番号は6番と7番。
前後でも二人組みにはならない出席番号。
「そ…そうだったね…。」
あははと風祭は笑う。
そうだよね。
僕から見て笠井君は目立っていたけれど…
笠井君から見ればそのくらいの印象しかないんだよね。

「試合でも何度か勝負したろ?
 けど…驚いたな。
 あの時は…キャプテンが武蔵森の三軍にいたやつとは言っていたけれど、
 まさかクラスメイトだったとは。」

ごめんな。
そのときは覚えてなかったんだわ。

「ううん。」
転校してしまえば…唯のクラスメイトなんて忘れて当然だもの。
「笠井君は…二軍から一軍になれたんだ。」
そこまで言って風祭は思わず口を押さえる。
笠井が二軍に居たことは確かに真実。
だが、なんで自分が知っているのか。
それに失礼な言い方である。
が、笠井の方はさほど気にはしていないらしい。
「まぁね。
 前3年が引退しての繰上げだけど。
 でも…よく知ってたね?僕が二軍にいたって?」

二軍でも僕の目には目立っていたから。
でも…そんな事言えるわけない。
まるで自分がずっと見ていたみたいだから…。

「あ…あの藤代君が…。」
理由として口に出したのは嘘。
ごめんなさい。藤代君の名前借りちゃって。
「やっぱりね。誠二のやつ…。」
ぶつくさ言いながらも、笠井君は納得したらしい。
一瞬、日頃の藤代君を考えてしまう。

「風祭君はここで自主練?」
「うん。普段は川原なんだけど…。」
少し恥ずかしそうにしながら答える。
無数の大小なりの傷。

そういえばキャプテンと衝突したっけ?

「足の怪我は大丈夫?」
「うん。もうだいぶ平気。水野君には練習するなって言われてるけど…。
 どうしてもしたかったから。
 ここならすぐにばれないと思って…。」
川原じゃすぐに見つかっちゃうしね。
にこっと笑って言う。

…桜上水10番は過保護なのか?

笠井。水野を認識した瞬間である。
「ああ…ごめん。僕ばっか…話して…。」
顔が少しこわばっているのが怒ってると思われたらしい。
「別に。
 でも…あの時はびっくりしたな。
 俺と高田先輩で二人でマークしたのにはずされるし。
 足を怪我してた人間の動きじゃないね。」
「そんな…。」
ますます顔を赤くしてうつむいてしまう。

うわ…。なんか可愛い?

誉められて赤くなって下を向いた風祭の目に入ったのはコンビニの袋。
「あ…あの笠井君。買い物の途中じゃ…?」
「えっ?ああ。別にいいよ。
 どうせたいしたもんじゃないし。」
コンビにの袋を掲げながら笠井は言う。

でも早く戻った方がいいかな。
あんまり遅いと誠二あたりが
「タクが遅いよぉ〜」
と、騒ぎ出しそうだし。
油売ってたなんて知られたら司令塔の蹴りが降るかも。
買出しに行かせたのは自分達なのに。
それにここにいつまでもいたら練習の邪魔をしてしまうし。

「じゃあ…頑張って。」
最後にかける言葉も見つからない。
結局お決まりの台詞。
「うん。ありがとう。」

けれどもにっこり笑って心底嬉しそうに答えるから…。
こちらの方が照れてくる。







三度目の出会いと認識は…必然がいいな…。








三笠編とは(なんとなく)違う性格の笠井君です。
アニメ版を見てなんとなく思った印象で。
(攻めと受けと話によって性格はここまで変わるのか??)
将君は可愛くしすぎかな…(汗)
三上さんとの関係は普通の先輩後輩なので、蹴り〜なのです。
高田さんが先輩なのか同級生なのかは…どちらなのかしら??
公式知ってる人教えてください…違ってたら修正しなきゃならないし…。
笠井と将君が同じクラスで番号が前後なのは個人的設定。
かさとかざだからね。
自分設定では一年時は笠井・風祭・藤代・山川は同じクラスな設定です☆
(藤代君が風祭の名前を知らなかった事は転校したし、
去年同じクラスでも名前覚えてない子とかいるでしょ?)