青い空。緑のグランド。 東京中の有力選手がいっせいに集まるトレセン。 東京代表を決める為でもあった。 自分の通っている武蔵野森からは四名。 元を入れたら五名。 「…元…なんだよな…。」 フェンスに腕を乗せ三上はポツリとつぶやく。 煩い後輩は面倒見のいいキャプテンが相手をしているだろう。 もう一人の後輩は、行方は分からない。 あまりかかわりたくないと言うのが、彼の本音ではあるが…。 そして、自分には他に知り合いは居ない。 学校外の友と聞かれると答えに窮するのだ。 馴れ合うつもりもないし、仲良くするつもりもないので十分ではあったのだが…。 たった一人を除いては。 あえない気持ち 一人居る三上にそっと近づく小さな影。 影はゆっくりと三上の横に並ぶ。 見なくても誰だかわかる。 自分にすすんで近づいてこようとするやつは両手で足りるほどしか居ないから。 「どうした?上水のやつらとは一緒にはいないのか?」 隣に並んだ将に三上は話しかける。 桜上水から選ばれたFW。 元武蔵野森の三軍。 穏やかな表情と、サッカーに対する情熱で彼の周りには人が耐えない。 特に、上水メンバーと飛葉メンバー(特にキャプテン)が一緒に居た。 「お前がいないと大騒ぎするぞ。」 姿を少し消しただけで、大騒ぎする彼らの姿を想像して、 少しだけ笑みがこぼれる。 「三上先輩が見えたから…。」 しばらくの沈黙。 先に口を開いたのは将であった。 「本調子じゃないですね。 …水野君ですか?」 三上と水野の複雑な因縁を知ってる身としては、 とても心配だった。 「うるせぇ。」 そっぽ向く三上。 行動と台詞が図星だって事を思いっきりあらわしていた。 「すみません。」 怒らせちゃったと将は下をうつむく。 お節介も度が過ぎるとなんとやらである。 第一、そこは一番突っ込んで欲しくない所であろう。 簡単に想像できたはずなのに…。 そんな将の様子を見ながら、三上は頭をかいて訂正する。 「あーお前が思っているのとは違うわ。 確かに原因は水野ってのもあるけどな…。」 言いにくそうな三上。 まさか上水のメンバーに嫉妬しているとは言えない。 格好悪いから。 「あーうん。上水と仲がいいんだな…やっぱ同じ学校の方が…。」 それでも、しどろもどろには言う。 言わなきゃこの後輩は判らない…気づかないから。 今回は、なんとなく将も言いたい事がわかった。 「たとえ上水のメンバーに囲まれていても、 …僕の一番は三上先輩だけですよ。」 にこっと笑って言う。 大人っぽくてクールな好きな人の一面を少しだけ見れて ちょっと嬉しかったり。 「言ったな。」 にやり笑いながら、キス一つを落とす。 「もっと早くお前がいびられてるの気づければな。」 そのときはレギュラーのために必死だった自分。 レギュラーメンバーのつらさと苦しさと大変さは将は身をもって知っている。 考えてもしかたのないIFのことなのに。 もし、助けて守ってあげていたなら今頃は…。 「同じ学校で楽しめたかもな。」 「でも、こうしてまた会える事が出来たんだらよかったと思います。 寂しいから…高校は一緒にしましょうね。」 勉強がんばりますから。 また、武蔵野森に入学したいですし。 あなたと一緒に居るために。 「ああ。あがってこいよ。高等部のレベルは高いぜ。 でも、そしたら放課後待ち合わせデートは出来ないな(笑)」 結構楽しかったんだけどな。 笑いながら言う三上に、将もつられて笑う。 今…同じ場所に一緒に立っているという最高の贅沢のほかに何を望むのだろう…。 |
昔やったアンケート結果第三位でした。
三上先輩って動かすと作品によって性格が一定しない(汗)
いつものことですが…。
今回の話はかっこいい三上先輩をめざしました☆
まだまだ勉強が必要だよ…