・・・・・それは天然ゆえの行動か・・・・?
ミネルバ内の休憩室に向かったアスランを待っていたのは、
ソファに偉そうに座ってるシンだった。
「休憩中か?」
「見てわかりませんか?」
優しく聞くが、シンの方は何を聞いてるんだって目をしながら完結に答えるだけだった。
その対応ももう慣れたもの。
最初は失礼なやつだと思ったが、今ではそんな態度さえも可愛らしい。
自販機で飲み物でも買おうと自販機の側に近づくと
さっきまで座ってたシンが立ち上がると先に自販機の前まで行く。
「俺が先です。」
その子供っぽい言い方に、苦笑を浮かべると素直にアスランは自販機の順番を譲る。
彼が選んだのはコーヒー。
かがむのがめんどうくさいのか、体を折り曲げて取り出し口から中身を取る。
ぐいっと頭を下げて、尻を突き出した姿勢になった。
位置的にちょうどにシンの尻は、後ろに居たアスランの顔近くに・・・。
「近いぞ・・・シン・・・。」
つぶやいた言葉に、自分の体制を考えたシンはすぐに謝る。
「えっ、ああ、すみませんね。」
上司に尻を思いっきりを向けたのを悪びれも無くあっさりと。
元よりあまりいい印象をアスランにしてないシンではあるが
現在はそんな細かいことを拘る関係ではないわけで。
だがアスランの返事はか細い。
「いや・・・」
ほほを指でかきつつ顔を横に向け、目をそらしながらも続きを言う。
「嫌じゃなかったけど・・・・。」
その言葉にシンはあきれた顔でアスランを見る。
「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ!?」
しかし、呆れ顔もすぐに一転。
「な・・・何言ってんだよ!?あんたは。新手の嫌味かセクハラか!?」
怒りながら罵声をあびせつつも、ほほは軽く赤に染まっていた。
「だって、仕方が無いだろう!!」
ムキになってアスランもシンに反撃する。
「あんた・・・最悪ですね・・・。」
顔は赤いまま、軽蔑するような視線を向けつつシンはポツリと言う。
その視線を受けて頭が混乱したのかアスランの台詞はますますおかしくなっていく。
「恋人にあんなことをされて嬉しくなかったら、異常だろ!」
もうこうなったら止まらないことは、シン自身もよく知っていた。
今、部屋に二人っきなのが幸いである。
もし誰かがいたらこの異常な状況に呆れるか生暖かい目で見られるであろう。
それだけはなんとしても回避したかった。
「・・・・はぁ、全くあんたって人は・・・。
んで、どうするんです?」
これ以上、変なことを口走ってたまるかと先手必勝。
普段は言わないような台詞をシンは口にする。
認めたくないが煽ったのは自分だから。
「何を?」
しかしアスランの答えは疑問系だった。
「・・・・・あんた、そこまで言っといて判ってないのか・・。」
あきれつつもシンは律儀に答える。
「いや。わかってなくはないが・・・。
じゃあ、それを言ったらシンはかなえてくれるのか?」
さっきとは違うまなざし。
それは期待している子供のようで、どこか可愛らしくシンには見えた。
「・・・・・・・・・・・・・・ま・・・・、まぁ・・・・・・・。」
それまでの強気さとは一転。
期待されてるまなざしに負けたんじゃないと必死に自分に言い訳をしつつシンは答える。
が、アスランはその答えだけで満足だったらしい。
「じゃ、部屋行くか?」
「・・・その前にコーヒー飲んじゃいますね?」
シンの手には、先ほど購入したコーヒーが。
「別に部屋でも飲めるだろ?」
にっこり笑顔であっさりアスランは言う。
「冷めちゃうんじゃないですか?」
部屋に戻れば何が待ってるかシンは百も承知である。
飲める頃には、手の中のコーヒーは冷め切ってしまっているだろう。
「ん?ほてった体にはちょうどいいだろ?
シンは声を出しすぎるからちょうどいいだろうし。」
再びあっさりとアスランは答える。
が、シンからの返事は無い。
おかしいなと思ってシンをみれば彼の体は震えていた。
手に持ったコーヒーが、彼の手の中で形状を変えつつある。
「・・あんたは・・・んなことはっきり言うな〜!!」
ばしゃっと、コーヒーをアスランにぶちまける。
彼がコーヒーをぶっかけた責任を負ったのかどうなのかは、また別の話で(笑)
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