「私達の時間もこの川のように流れていくのですか?」


















rivers of the past




















すでに誰もが寝静まった時間。
闇に包まれる中、浮かぶは月と無数の星の光のみ。
昼間なら綺麗に輝く青い海は、今は気味の悪い暗さをまとっている。
そんな中を歩く一組の男女。


同じ闇に解けそうな深い藍色の髪をした男性と
暗い中存在をはっきり主張するピンク色の髪をした女性。


ただ何を話すでもなく、ゆっくりと流れに沿って歩いていた。


暫く進んだところで、女性の方は足を止める。



「何も話してくれませんのね。」



静かに。
でも怒ってもなく優しく。



「すみません・・・。」



対する男の返事はどことなく申し訳なさそうに。



「でも、そんなところもあなたらしいですわ。」



くすくすと女性は手を口元に当てながら笑う。



「すみませ・・・。」



再び同じような台詞を言おうとする男の台詞をさえぎって
まるで聞こえていないかのように女性は続ける。




「ねぇ、知ってますか?」
「えっ?」
「この川。あちらの方で二つに分かれますの。
 でも、再び合流するのですわ。不思議におもいません?」




ことんと首をかしげながら女性は聞く。



「何がですか・・・?」



しかし、男に意味は通じなかったらしい。
頭に疑問符をつけたような表情をしている。




彼女の言葉は抽象的すぎた。
問いかけをし、答えを求めてくるのはいつもの事。
それに答えれない彼もいつもの事。






「どうして、別れるんでしょう?」






それは道のせいです。
と、いう現実的な意見が浮かんだが頭を振る。
そんな答えを彼女は望んではいない。
それだけは男にもわかった。







「もう一度、元に戻るために必要な別れだとおもいますよ。」






しかし女性からの返事はない。
もしかして、答えを間違えた・・・?と、男は一瞬杞憂になる。
が、それは思い違いだという事はすぐにわかった。



「…私とあなたもそうなのでしょうか?」



視線は川を見つめたまま静かに言う。
 


「そうですね。」



ゆっくり近づくと女性を後ろから静かに抱きしめる。
久しぶりに感じる感触。
最後に感じた彼女のぬくもりは、果てなく遠い時間で。



 
「・・・だからこそ、今の僕とあなたの時間は一緒です。」



精一杯の台詞。



一度別れても先で合流する川。
じゃあ、なぜ別れるのか。



それは必要な別れだから。



「・・・もう一度、元に戻るための一時的な別れです。」



男の台詞に女性は静かに笑みを深めると、首に回った男性の手に優しく触れる。
上から包み込むように握り締めると、緊張したのか驚いたのか男の体がビクンとはねる。



「私もそう思いますわ。こうして再びあなたと・・・。」



「はい。」



少しだけ抱きしめる力を強くすれば素直に女性は男の胸に頭を預ける。
懐かしい暖かさ。
思い出すのは過去の暖かい時間。
聞こえてくるのはお互いの鼓動の音と川が流れる音のみ。











別れたことで前以上に近づいた自分達。
大切なものを気づかせてくれた双子に感謝を。































---その双子達---


「ねぇ、なんでそこで一発やらないかなぁ?」
「あのへたれにそこまで期待することが無理だろう・・・。」
近くの茂みでこっそりとされた会話を川岸に居る二人は知らなかった。


アスラクって難しい。
タイトルは造語に近いです。
読み専でいいよ・・・私・・・
オチは双子に〆てもらいました