今日も平和なとある団地。
旦那様と愛しの奥様
黒髪に琥珀色の瞳をもつ可愛らしい(?)奥さんは朝食の準備を整えると
朝に弱い旦那を起こす為にベットルームへと向かいます。
「おきろ。朝だぞ。」
ゆさゆさとゆするが旦那の返事は鈍いですが、これも毎度のこと。
「ん〜、あと5分〜。」
むにゃむにゃと返事が返ってきますが、それを優しく微笑んで起こすような妻ではありませんでした。
問答無用で旦那の布団をひっぺがすとシーツごとベットから転がり落とします。
ドンといい音が響いてベットの下に落ちた旦那を見下しながら
冷たい声で「おきろ。」と一言言い放つと部屋を出て行いってしまう奥様。
いささか乱暴に起こされた旦那様は軽く痛む頭を抑えつつ起き上がります。
全くもう少し優しく起こせないのかねぇと毎回思うのですが、
いかせん愛しい奥様の行動には強く怒れない情けない旦那様でした。
テキパキと洋服を着替えると、愛しの奥様が待つ台所へ向かいます。
テーブルの上に並ぶのは
目玉焼きとサラダが一体になったプレートと、コンソメスープ。
かごに入ったおいしそうなパンは隣の奥様の手作り品です。
それを素通りして向かうは、コーヒーを入れてる奥様の元。
「はよ。」
愛しい奥様をぎゅっと後ろから抱きしめるとやわらかい髪に顔をうずめます。
消してるわけではないから気配で判るというのに逃げないのは許してくれてるから。
その優しさに…少しだけ甘えている旦那様の行動もエスカレートしていきます。
「おはようのキスは??」
耳元でささやくと腕の中の奥様はビクっと震ええます。
その可愛らしい反応にもう一度ささやけばくるりと振り向く愛しの奥様。
ちゅ。
軽い音がして唇がほほに一瞬触れました。
「これでいいだろ。」
終わったとばかりにコーヒーを入れ終わった愛しの奥様は
旦那の腕の中からあっさり抜け出すと入れたばかりのコーヒーをテーブルに置きます。
本当はほほじゃなくて別のところに欲しかった旦那様でしたが
愛しの奥様の顔が少し赤いことに気づくとくすりと笑いいすに座りました。
「いただきます。」
二人して手を合わせて朝ごはん。
今日も平和なとある団地。
…の、ある夫婦。
-おまけ-
「いってらしゃいのチューは??」
「やるか。とっとと仕事に行け!!」
粘る旦那様とかばんを押し付けて追い出してる愛しの奥様。
毎朝の光景にお隣の夫婦は呆れたように顔を見合わせます。
「よくもまぁ、毎朝毎朝懲りないもんだ。」
「…あの二人らしくていいじゃないかな。」
そして、反対側の隣の夫婦は。
「あー。またやってるよ。してもらうんじゃなくて、してけばいいのに。」
「ふふふ。義兄様はしてほしいんですよ。あなただって時々我侭言うでしょ。」
「…。」
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