それを見ているだけでむしゃくしゃする。








この感情は何だ。









嫌だ。
















・・・見たくない。










これ以上、かき乱すな。











戸惑い


















移動用のレバーを掴みながら食堂へと向かっている刹那は
ふと目にした光景に足をとめる。
そこには自分に何かと構ってくる自称保護者と仲間の姿。
二人で親しそうに会話をしている。
話の内容までは聞き取れないが、別に何も珍しくない普通の光景。
楽しそうに笑って、時々触れて。












見たくない。










「?」
刹那は一瞬、浮かんだ感情にとまどいつつもその場から足が動かなかった。
目を逸らしたいのに逸らせない。
どうしようかと困っていると、相手が自分の存在に気づく。
今まで話してた人間に軽く手を上げると、こっちに近寄ってくる。
「どうしたんだ?」
優しい碧の目をもった長身の人物は、同じような優しい声でこえをかける。
が、返事ができない。
突然あらわれた感情に頭の整理ができていなかった。
ただし野性の本能-体-は正反対で逃げ出そうときびすを返して動き出す。
「えっ、おい。ちょっとまてよ。」
突然逃げ出した刹那に焦った声を上げて追いかける。
リーチの差か簡単に捕らえることができた。
肩を捕まえると自分の方へ体を向けさせる。
「全く、人の姿見て突然逃げ出すって事はどういう事か?」
少し怒りをこめてとがった風にきつく言うが、刹那は口を真一文字に結んだままである。
ただし瞳はしっかりとにらみつけてはきているが。
しばしの間、無言で二人して見詰め合ってると痺れを切らしたのか
先に口を開いたのは以外にも刹那の方だった。
「…別に。」
これ以上は答えたくないというばかりの単純な回答。
もちろんそれで問いかけた人物が満足するわけではない。
そんなこと、刹那だって重々承知である。
毎回根掘り葉掘りしつこいくらいに聞いてくるのだ。
だが今回は簡単に折れてくれた。
「まぁ、いいか。
無理に聞いて悪かったな。」
いつもと違う行動に、刹那の瞳が驚きに開ける。
「それより飯、まだだろ?食いにいくか?」
ぽんぽんと頭をたたいてたずねられると、今度は素直に首を縦に振る。
お腹が空いて食堂へと向かっていたのは事実だから。

そして、二人で食堂へ向かっているときに先ほどまでの感情がなくなった事に刹那は気づく。
「?」
自分の胸に手を当てて首を傾げるが、どうしてなのか判らない。
まぁ考えても仕方ない事だと判断し、ふるふると数回首を横に振ると先を行く彼の姿を追いかけた。
















だから、それは謎のまま。