黒い目に琥珀の瞳。
少しだけ小麦色の肌。









それは畏怖への対象だった。










静かに雨が降る中を一人の男が歩いていた。
傘で顔はわからないが、それなりに若い男で背も高い。
彼はふと何かに呼ばれたように足を止める。

だけど聞こえるは雨の音のみ。

気のせいかと再び歩き出そうとするとき、今度ははっきり聞こえる声。
胸騒ぎと気になる衝動が止まらず、自分の勘と聞こえてくる声だけを頼りに路地裏へと入っていく。


路地裏の奥のそのまた奥。
そこにいたのはボロボロの少年。
壁に体を預け頭はうつむいていて顔がわからない。
体中は傷だらけでところどころに見えるは陵辱された痕跡。







「…けて。」







さっきから、聞こえてた小さな声の持ち主。


そっと傘を差し出し雨をさえぎってやると、初めて自分の存在に気がついたかのように少年は顔を上げる。
大きな琥珀の目。
こうなってもなお、消えない意志の強さと希望の光。



一瞬にして吸い込まれすべてを捕らわれた気分にさせられた。




それが彼との出会い。