「天才+天才=馬鹿」
どんな数学の本にも載っていない方程式。
でも、俺の頭の中じゃ定義となっている。
12.天才
「きゃぷてぇ〜んvv」
朝っぱらから煩い。
だが、食堂に居るメンバーはすでに慣れっこである。
気にしていたらきりが無いし、
第一くだらない。
「どうした?藤代。」
そして、この甘い声も恒例。
食堂に居るメンバーは(以下同文)
これが武蔵森学園の誇る天才2人組み。
学外での能力はすばらしいが、
学内ではただのバカップル。
だけど、誰もそんな事はいえない。
寧ろ言いたくもない。
「なんにしろ馬鹿らしくてうっとうしいのは確かだしな。」
食後のお茶を飲みつつ三上は言う。
それに答えたのは隣にいた中西だった。
「でも、三上?本当はうらやましいんでしょ?
天才でラブラブで。」
「阿呆。誰がうらやましがるか。
第一、何とかと天才は紙一重って言うだろう?」
「うわぁ。それはおもってても言ってはいけないよぉ。」
とりあえず小声で警告。
その後にもっと小声で「まぁ誰もがそうおもってるけど。」と追加。
もちろん小声なのは話題の中心者に聞こえないようにするため。
「何がだ?」
気配を全く感じさせす、背後に現れた人物に二人は固まる。
さっきまで、入り口近くに居ませんでしたか?
などという常識は彼には通用しない。
それ以前に、気配を消して近づくという恐ろしい特技を持っている事自体に
つっこみが欲しいのだが…誰もその事には触れようとはしなかった。
「あっ、俺日直だから。」
まかせたと言わんばかりに、中西はかなりのスピードで席を後にする。
一人残されてしまった三上は、にっこり笑顔の同室者に対して苦笑いで返す。
「よ…よう…。」
「ああ。おはよう。で?何と何が紙一重なんだ。」
聞いてたじゃねぇかという言葉は心の中だけで。
これ以上怒りを増幅させるわけにはいかない。
そのときだった。
もう一人の声が乱入したきたのは。
普段はうっとうしいが、今だけは救いの神。
渋沢の意識がそちらに向いた隙に、三上はその場から逃げ出す。
お茶の味なんてかみしめている場合ではない。
方程式に追加だ。
+恐怖もくっつけてやる!!
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