すでに夕暮れも過ぎた時刻。
部室にともるは一つの明かり。
窓に映るは二つの影。
7.部室
「早く帰ったらどうだ?」
「いーえ。待ってます。」
さっきからこの繰り返し。
黙々と仕事をするキャプテン。
全員を見送ってから部誌を書いている。
こっちの方も見ないで黙々と。
動いているのは、彼の手だけ。
ああ…。
大きい手だな。
あの手がとっても優しい事を俺は十分に知っている。
同じ台詞を言い合うのも飽きた。
でも、動きたくなくてじーっと見つめている俺。
目が離せない。
ああ。
この人のこと好きなんだ。俺。
尊敬とか憧れじゃなくて。
真剣な表情も、色素の薄い髪も。
「ん?どうした?」
問い掛ける声も、優しい微笑みも。
穏やかな瞳も。
「んー。キャプテンかっこいいなーと思って。
思わず見とれてましたv」
「そうか…。」と、苦笑するあなた。
ねぇ、この台詞冗談なんかじゃないですよ?
本当の告白ですよ。
判ってますか?
いつか、本当に言おう。
その時までは、冗談だと笑っていてください。
|